日本共産党の志位和夫委員長は15日、国会内で記者会見し、安倍晋三首相が14日のシンガポールでのロシアのプーチン大統領との会談後に「日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速させることで一致した」と述べたことについて、「会談の中身が分からず発言に即したコメントは難しい」とした上で、「少なくとも2点は強調しておきたい」として、日ロ領土問題に対する日本共産党の基本的立場を述べた。
第一は、「歯舞群島と色丹島は北海道の一部なので『2島先行返還』はありうることだが、その場合は、中間的な条約と結びつけて処理することとし、平和条約は領土問題が最終的な解決に至った段階で締結すべきだ」ということだ。志位氏は、「2島返還で平和条約を結ぶことは絶対にやってはならない。ここが肝心なところだ。平和条約は結んだら国境線の画定となる。それ以上の領土返還交渉の道は閉ざされる。歴代日本政府の立場の自己否定となり、ロシア側の主張への全面屈服になる」と強調した。
第二に、志位氏は、60年以上にわたり日ロ領土問題が前進しなかったのは、「国後島・択捉島は千島にあらず。だから返還せよ」という日本政府の主張が「歴史的事実に照らしても国際法的にも通用しない主張だったことにある」と指摘し、「このことを正面から認め、領土交渉の方針の抜本的な再検討をすべきだ」と強調した。
そして「日ロ領土問題の根本は、『領土不拡大』という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじって、『ヤルタ協定』で『千島列島の引き渡し』を決め、それに拘束されてサンフランシスコ平和条約で『千島列島の放棄』を宣言したことにある。この戦後処理の不公正をただし、全千島列島の返還を正面から求める交渉を行ってこそ、解決の道が開かれる」と語った。