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【人物紹介欄】武島芽衣子さん 聴覚障碍と性同一性障碍 ダブルマイノリティを生きる


ろう者で性別適合手術済みトランスジェンダーというダブル・マイノリティである武島芽衣子さんはLGBT関連用語の手話のパンフレットをつくり、全国で講演に励んでいる。
 武島さんはホルモン焼き肉の店を営む父と母の間に3人兄弟の長男として埼玉県秩父市に産まれた。原因不明の先天性聴覚障碍者として育った。家族全員健聴者であり、手話や発話練習を受けるために幼少時から聾学校の寮で集団生活を送った。
 物心ついた頃から少女的なモノを好み、小学生から少女向けアニメやゲームにはまり、毎日没頭した。特に「美女戦士セーラームーン」が好きで、女児向けキャラクター下着を両親に懇願して買ってもらった。しかし彼女の幼少期には「オカマ」という概念はあっても、LGBTなんて概念も言葉も知られて居ない時代だったこともあり同級生からから「オカマ」となじられた。「正直、周りがろう者でしたが、心の性が女ということはまったく理解されなかった。私は成長するにつれ、より一層と可愛いらしい服を着る事に強く憧れました。でも思春期ともなると自分が男性の身体であると思い知らされる二次性徴に悩まされ、女性の服を着ることに、なんとなく後ろめたく葛藤を感じました。」
 元々アニメ好きだった彼女はコスプレの存在を知って始める。「アニメコスプレイベント等では『女装コスプレイヤー』は珍しくはないから、女性のコスプレが出来て自分らしくなれました。」それからは、女性の格好で婦人服売り場に行き女性としてショッピングを楽しむようになる。「周りからは『可愛い』、『似合っている』と言われて、すごく嬉しかったです」と彼女は振り返る。
 しかし同時に言われる度に女になりたいと思い、性転換手術の方法を調べ始めた。しかし当時はどの資料にも学生が性別適合手術を受けるのは手術不可能と書いてあった。「性同一性障碍」の言葉を初めて知ったのは『三年B組の金八先生』だった。上戸彩さんが性同一性障害の役演じる姿を見て衝撃を受けた。その時の武島さんは20歳だった。そして、彼女はその年に社会人になる。「大手企業に就職して手術代を貯めるまで男としてガムシャラに仕事しました。男扱いは屈辱でしたが、ずっと我慢してきました。『魔女たちの22時』というTV番組で佐藤かよさんのカミングアウトを見て衝撃を受けました。同じトランスジェンダーということだけでなく、趣味がアニメやゲームだったり共通点も多く大ファンになった。で佐藤かよさんに逢い、悩みを相談したこともある」
 約10年で会社を退職し、得たお金で性別適合手術を受けた。「長く時間がかかったけど、やっと自分を取り戻せたと感じました」と振り返る。今はろう者・LGBTの啓蒙活動をこなしている。
「今年は東京レインボープライドでブースを出したら、保坂展人・世田谷区長や枝野幸男さんが見学に来た。LGBTろう者を対象に講演会もしています。世間ではLGBT講演会はたくさんありますが、ろう者を対象にしたものは皆無に近い。ろう者の中には手話しか理解できない人もいる。だから文字の資料だけでは理解出来ないろう者が多いんです。私の講演会は手話通訳士に全部通訳を頼んでます。それでも解らないと言われたら、私が直接手話で教えてます。」

発達障碍者・LGBT・ろう者の地位貢献を目指すコスプレイヤー Masaminさん

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【リード】
発達障碍を抱えたMasaminさん。現在は非正規の介護士として働きながら、発達障碍の啓発に努めている一方で、コスプレイヤーとしても活動している。

【本文】
「介護の仕事は、精神的なところでは大変ではありませんが、体力的にはキツいですね。体を支える機械なども使うんですけど、直接的に抱えて起き上がらせたり、移動させたりということがあるので、筋力がないとできません」

 そう語るのは、非正規の介護士Masaminさん。本人は、発達障碍を抱えている。自分が発達障碍では、と自覚するようになったのは小学生の頃だという。

「小学校高学年の頃から発達障碍に関するニュースが増えてきて、その症状が自分にぴったしあうので、分かりました。医者にかかって検査をしたいと親に打ち明けましたが、一蹴されました。検査を受けて(発達障碍と)診断されたのは成人になってからです」

 学校になじめず、高校には進学できなかった。それ以来、非正規の仕事を転々としているという。

「中卒だと履歴書を見せるだけで、正規採用からふるい落とされてしまう。日本は学歴社会なんだなと強く感じますね」

 そんな彼女は発達障碍の理解促進を求める活動もしている。

「障碍を持つ人もそうではない人たちも、一緒に助け合いながら生活する『まぜこぜ』の社会が重要だと思います。発達障碍について言えば、外見では分からない。私が抱えている病気に起因する欠点は、時間を守れないことです。どんなに努力しても遅刻してしまう。だから、大事な用事の時はパートナーが家に迎えてきています。発達障碍者は片付けが出来なかったり、注意散漫だった
りと色々な欠点を抱えています。しかし、社会がそれも一つの個性として認め、支え合う社会になって欲しい」

 さらに話に出たパートナーについては、「男性から女性に性別適合手術したトランスジェンダーで、しかも、ろう唖者です。そのため、LGBTについて勉強し、手話も習得しました」とも語る。

 そんなMasamiさんだが、一方でコスプレイヤーとしても活動。スカウトされDVDも発売した。

「元々、小さい頃から変身ごっこが好きだったんです。誕生日に変身セットを買ってもらったりゴミ袋とかで作ったり、コスプレというより仮装が好きだったんです。小学校に上がってからマンガとかアニメ好きの友達が増えるようになって、仮装が好きならコスプレがあるよって教えてもらっったんです。最初に、コスプレしたのが、小学校5、6年くらいです」

 小学校高学年の頃から発達障碍を意識するようになり、学校にもなじめなかったMasaminさんだが、コスプレで友達ができたという。
「友達で家族と一緒に、コスプレしてる子がいたので一緒に衣装を作ったり、ミシンを借りて縫ったりもしました。その時にコスプレした友達が中学でも一緒だったので、3年間は”オタク活動”漬けというか、部活まで一緒だったので、マンガ研究部状態でした(笑)」

 介護士の仕事をしながら、発達障碍や手話の指導、LGBTの啓発を行ない、さらには、コスプレイヤーと、マルチに活躍するMasaminさんである。

     
【Masaminプロフィール】
まさみん。1988年2月21日生まれ。介護士。重度障碍者の介護が専門。趣味はコスプレ、懐メロ。コスプレの撮影会でスカウトされ、2018年1月にファーストDVD発売。ろう者やLGBTの友人が多く、手話を勉強・指導中。

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